最新e-bikeを峰山ヒルクライムテスト( “benelli mini Fold 16” & “BESV(ベスビー) JF1” )

電動アシスト自転車も国内外のメーカーから次々と新しいモデルが投入されて、今やシティコミューターとして当たり前のように使われるようになりました。

登場当初のように、いかにも普通の自転車にバッテリーとアシストモーターを取り付けましたといった形ではなく、一見電動アシストに見えない、自然なフォルムでありながら、従来のモデルよりも遥かに長い航続距離を実現しています。

そのうち、今回は、中国と台湾のメーカーのモデルを高松市内の田町クラウズから峰山まで、急坂をヒルクライムテストした感想などお届けします。


 

●benelli mini Fold 16


16インチのミニサイクルホイールにがっしりしたフレーム。そのフレームに入る”benelli”の文字に、往年のモーターサイクルファンならノスタルジーを刺激されるでしょう。

1970年代から80年代にかけて、独特のマルチシリンダーの高性能モーターサイクルを送り出してマニアの心をくすぐったイタリアのメーカー。しかし、高性能でリーズナブルな日本製モーターサイクルに対抗できず、姿を消しました。

そのベネリは、紆余曲折を経た後、中国の銭江グループの傘下に入り、ブランドを復活させました。そのベネリブランドの電動アシストバイクが、この”mini Fold 16″です。

かつてのゴツい鉄の塊のようなベネリ製モーターサイクルを知っている者の一人としては、シンプルなミニサイクルにベネリの名前が入っているのは不思議な感じがしますが、懐かしいブランドの復活は、ワクワクさせてくれます。

ただでさえ大径のホイールの自転車と比べるとフロントが不安定なミニサイクルに電動アシストのシステムを組み合わせたと聞いて、リアに押されてフロントがふらつくのではないかと危惧していました。

ところが、走り出してびっくりしたのは、ノンアシストのときよりもアシストを効かせたほうが車体は真っ直ぐに進んで安定するのです。それもそのはず、このベネリの”mini Fold 16″のアシスト駆動輪は、フロントなのです。前のタイヤが引っ張ってくれるので、大径車のような安定感で、段差などを乗り越えてもぜんぜん不安感がありません。

内装3段ギアで急坂にも対応。メンテンナンスフリーで故障も少ない

このサイズの自転車はとても小回りが効くので、街中では自由自在です。リアホイールは3速の内装ギアが装備されていますが、アシストを効かせていれば、よほどの急坂にならない限り、3速に入れたままで軽快に走ってしまいます。

アシストレベルは4段階で、最大にすると、ほんの少し踏み込んだだけで、グイグイと進んでいきます。航続距離は最大で80km。このサイズのミニサイクルで遠距離ツーリングするケースはないでしょうから、アシストを最大にしていても、数日はバッテリーが持ちそうです。

アシストレベルは三段階。青いLED表示はバッテリー残量のレベルメーター

今回は、高松市内から東の峰山へと登る急坂のヒルクライムに挑戦しましたが、これは本来の使い方からはだいぶ逸脱しているので、ちょっとかわいそうでした。この自転車のフロント駆動は、前輪への負荷を検出してアシストが掛かるようになっているようで、急な上り坂が続いて前輪への荷重が減る(前輪が浮き気味になる)と、アシストが切れてしまうのです。急に踏力が必要になって立ち漕ぎすると、それで前輪荷重が増すためか、アシストが効くようになります。こうした現象は、普段使いではまず起こらないはずです。もっとも、峰山の頂上まで登れましたから、前輪荷重のコツをつかめば、けっこうな遠乗りも可能になるでしょう。

これは折りたたみ可能モデルで、さすがミニサイクルサイズなだけあって、折りたたんでしまえば、小型車のトランクに入れても、まだまだ余裕があります。フレーム内蔵バッテリーのおかげで重量バランスも良く、持ち運びにもそれほどの重さは感じません。レジャーに出かけるときにトランクに入れて行って、現地で気軽な足として使うのにも最適です。

シートポストの高さだけでなくハンドルポストの高さ調節もできるので、一台を家族みんなで使うのにもお勧めです。

折りたためば、小型車のトランクにも余裕を残して収納できる

 

●BESV(ベスビー) JF1

今回、試乗したもう一台の電動アシストバイクは、BESV(ベスビー)のJF1というモデル。BESVは台湾のBenQグループの傘下であるDARFON Innovation Corporation(ダーフォン・イノベーション・コーポレーション)のブランドで、高効率のバッテリーとその制御に卓越した技術を持つメーカーならではの先進的な技術を盛り込んだものになっています。

プロダクツデザインはヨーロッパで行い、ヨーロッパ市場をメインターゲットにしてきたため、今ではヨーロッパでは非常に高い知名度のブランドになっています。

日本では、そのスタイリッシュなデザインが、とくに都心部の感度の高いユーザーに認められ、起伏の多い都心部での使い勝手でも非常に高い評価を得て、たくさん目にするようになっています。

JF1は、コンベンショナルなクロスバイクスタイルで、汎用性の高い700×35Cのタイヤを履いていて、乗り味はまさにスポーティなクロスバイクそのものです。アシストモードは3種類あって、最強モードにすると急な上り坂も平地を行くのとほとんど変わらず、麓から峰山まで2kmで標高差200mのヒルクライムをいともたやすく駆け上りました。

こちらはオーソドックスな外装ギア。制動力の高いディスクブレーキでスポーツ走行も安心

漕ぎ初めの急発進感や荷重変化の影響もほとんどなく、自然なペダリング感で、自分の脚力がとても強くなったような感覚でライディングできます。航続距離は最大で115km。日常使いでは、ほとんどバッテリー切れを気にすることなく、数日は充電せずに使えるでしょう。また、平坦地や下り坂ではアシストをオフにして、必要なところでアシスト量とギアを加減して使うようにすれば、ロングツーリングまでこなせるポテンシャルを持っています。

BESVは他にミニベロスタイルのモデルやMTBスタイル、シティコミューター的なモデルなども用意されているので、ライフスタイルに合わせて選ぶことができるのも魅力です。ちなみに、もうすぐミニベロスタイルのフォールディングバイクも発売されるので、それなら車のトランクに積んで行って、出先でサイクリングを楽しんだり、本格的な輪行も可能です。

多彩なファンクション表示

アシストレベルは三段階で、強度によってメーター表示の色が変わるので、とてもわかりやすい